ナイスハート
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 私が鹿児島のある障がい者施設とお付き合いさせていただくことになったのは、東京・千駄ヶ谷でショップを経営する鹿児島出身のオーナーから「九州の柑橘でなにか作れないですか?」と相談を受けたのがはじまりです。いまから4年ほど前のことでした。 ジャムやジュース、砂糖漬けにはすでにたくさんの先行商品があるのは周知だったので……あ、これならと、ふと閃いたのがアイスバーでした。柑橘に特化したアイスならいけるかもしれないと考え、ネットで「鹿児島 アイス 製造」などと検索したら、ジェラートなどを製造している障がい者施設に行き当たりました。 その施設のサイトを一目みてすごくいいなと思ったのは「手がきれい」だったからです。 手がきれいとは、清潔感があり丁寧な仕事をしている商品だと感じたということです。取り寄せて食べたらやっぱりおいしい。 代表の方とやり取りをして、まずは工房を見学させていただきました。そこではじめて障がい者のスタッフが働いてる現場を拝見しました。皆さん黙々と取り組み総じて丁寧な仕事ぶりです。 私が製造をお願いしたアイスバーは普通の大規模工場では絶対引き受けてくれない手作業が必要な手間のかかるもの……だけどここならきっと丁寧にやってくださると確信しました。  2015年、「mikaned(ミカンド)」という品名をつけた柑橘専門のアイスバーはこうして生まれました。今年で2年目ですが、味や品質が評価され、少しずつ売り上げも伸びてきています。 これからも末永くお付き合いいただければと心から願っています。お菓子研究家。福岡生まれ。『一年中おいしいアイスデザート』(主婦と生活社)など著書多数。2016年秋に生地メーカーcoccaとコラボしたエプロン・esiliinaを発表。九州の柑橘でつくるアイスバー障がい者施設との新しい取り組み福田 里香福田 里香ふくだ りかお菓子研究家工房での製造の様子。ひとつひとつの商品が丁寧に扱われている。鹿児島の障がい者施設と一緒に作っているアイスバー「mikaned(ミカンド)」。九州の柑橘を中心に様々なフレーバーを展開している。16

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